これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2013/10/01 性的指向

9 月 19 日に「性的指向と性的嗜好」について書いたところ、 ある人物から「やはり指向と嗜好は区別するべきである」との意見をいただいた。

その人がいうには、性的嗜好としての「看護師さんが好きだ」「教師と教え子の関係に憧れる」などは 専ら性行為の対象としての好みであるのに対し、 「同性が好きだ」「異性が好きだ」といった性向は、いわゆるプラトニックな恋愛まで含めた、 性行為に限らない恋愛対象を規定するものであるから、両者は質的に異なる。 これらを区別するための表現として「嗜好」と「指向」を使い分けるのは合理的だ、というのである。

この考えは理解できるし、その意味においては、確かに、「看護師が好きだ」という性的嗜好と 同性愛とを同列に議論するべきではない。

しかし、先に例示したロリータコンプレックスについて考えると、小児を専ら性行為の対象として考える人々はともかく、 小児に対して恋愛感情を抱き、あるいは小児に対してしか恋愛感情を抱かない人物については、 やはり同性愛や異性愛といった区分と同様に、「嗜好」ではなく「指向」とするべきではあるまいか。 あるいはもっとありふれた例で考えれば、背の高い人が好きだ、とか、 医学に精通している人しか恋愛感情の対象にならない、とか、そういった好みも、同様に「指向」と分類できよう。

このように、性行為の対象に限った議論か、広範な恋愛感情の議論か、で分類するなら良いと思うのだが、 私が調べた限りでは、そのような観点から分類するのはあまり一般的ではないように思われる。


戻る
Copyright (c) Francesco
Valid HTML 4.01 Transitional