これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2013/12/14 診断特異度

文光堂『小児科学 改訂第 10 版』を購入した。 まだほとんど読んでいないのだが、第 1 章「小児科学序論」は名文である。 この章を担当されたのは慶應義塾大学の高橋孝雄教授である。 ここに記されていることは、必ずしも小児科学に限ったことではなく、 臨床医全般にとって重要なことであると思われるので、医学科学生諸兄姉には、ぜひ、一読することをお勧めする。

ここにはいくつかの大事なことが書かれているのだが、特に診断特異度のことを紹介したい。 曰く

良性の, 軽症の, 治療を必要としないような状態を ``心配なし'' と診断できるか. これが診断特異度である.

忘れてはならないことは, 無用な介入によって子どもの QOL をかえって悪くしたり, 医療費を浪費したりすることのないようにすることである.

「現時点では何ともいえません. 取り敢えず検査をして経過を見ましょう」という台詞はできるだけ避けたい.

「ないものはない」と太鼓判を押せる医師が本当の腕利きである.

この視点は、少なくとも名大医学科の学部教育においては、残念ながら軽視されているように思われる。


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