これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2014/02/24 薬物の副作用について

アスピリンの副作用として代謝性アシドーシスを来すことがある、という話を読んだのだが、その機序がよくわからなかった。 ところが、私の手持ちの薬理学や内科学の教科書類には、その副作用の機序について詳しく説明しているものがない。

そこで、ふと気がついたのが、某准教授の推薦で購入した、上條吉人『臨床中毒学』(医学書院) である。 この教科書は中毒について解説したものであるが、アスピリンなどの医薬品も中毒を来すわけであるから、この書の守備範囲である。

アスピリン中毒についても詳細な記述がある。せっかくだから、簡潔に紹介しよう。 アスピリン (アセチルサリチル酸) は体内でサリチル酸に変換されるが、このサリチル酸は弱酸性であり、非イオン型は疎水性の小分子である。 従って、例の有名な機序により、サリチル酸はミトコンドリアの脱共役を来して好気呼吸を阻害し、 乳酸産生や β 酸化を促進して代謝性アシドーシスを来す。 また、尿をアルカリ化することで再吸収を防ぎ、腎排泄を促すことができる。 代謝性アシドーシスに対する代償反応として炭酸水素イオンの再吸収が亢進するから、低カリウム血症には注意が必要である。

また、アスピリン中毒では高体温を来すらしいのだが、これが私にはよくわからない。 単に交感神経系が亢進するから、という理解で良いのだろうか?


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