これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。
以前に紹介した京都帝国大学の前川名誉教授は、物理学にも精通していたらしい。 前川博士は昭和十年に、日本循環器病学誌に「醫物理學」と題して 生理現象の基礎となる物理現象について、数式を駆使して概説を書いている。 また、博士の「層電対説」は、物理学、とりわけ電磁気学への理解がなければ生まれ得なかったであろう。
名古屋大学医学部医学科をみる限りにおいては、医師になろうという人々の多くは、あまり物理学に強くないようである。 私も物理学に詳しいなどといえる立場ではないが、それでも、だいぶマシな方であると思われる。
臨床医として医術を実施する限りにおいては、物理学はほとんど必要ないのかもしれない。 しかし新しい医学を拓いていくためには、生命現象の基礎たる物理や化学への理解が、不要であるとは思われない。 その一方で現在の医学教育課程においては、十分に物理学や化学を修めるだけの余裕はない。
その意味において、物理学や化学の分野で脱落した人々こそ、編入や再受験の形で、もっと医学の世界に来るべきであろう。