これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。
8 月 30 日に書いた「医学部生の上下関係」の続きである。
医学部生の間で、かかる不可思議な上下関係が存在する原因の一つは、 医師の間に同様の奇妙な上下関係が存在することであろう。 噂では、医師の間でも、卒業年次によって規定される先輩後輩関係が存在し、 先輩医師の言うことには逆らってはいけないそうである。
実に馬鹿げた話である。 医療は、高度な学識と熟練した技術によって支えられている。 これらを習得するには、もちろん、経験が非常に重要ではあるが、 経験さえ積めば済むというものではない。 もし経験が全てであるなら、医学部など不要であり、高卒の青年をただちに 医師見習いとして病院に送り込めば良いのだ。 実際はそうではない。経験の豊富な医師が必ずしも優れた医師であるとは限らない。 また、卒業から年を経ていれば経験が豊富であるとも限らない。
要するに彼らは、医療の世界に実力主義がもたらされることを恐れているのではないか。 年功序列であれば、自分もいつかは上に立てる。 実力主義がはびこれば、怠慢医師はいつまでも下働きである。 どうせなら、与えられた任務だけこなしていれば 高い社会的地位と経済的恩恵が受けられる年功序列制度の方がありがたい。 それが本音ではないか。