これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。
名古屋大学医学部医学科では、試験の際の不正行為が横行しているという。 詳しいことは知らないのだが、カンニングペーパーを持ち込む、 試験中に携帯電話で Google 先生に尋ねる、 携帯電話を持ってトイレに行って何事かを為す、などの手口が多いらしい。
本日、所用があって大学の備え付けのコピー機で複写をしていたら、 たまたま、足元に小さな紙片が落ちていた。 何かと思い拾ってみると、A4 をさらに 16 分の 1 程度に小さくした縮小コピーであり、 何やらウイルス学の重要事項らしきものが細かく記載されている。 そういえば、明日は三年生のウイルス学の再試験であるそうな。 しかし、どうして、ノートをここまで小さくコピーする必要があるのか、私にはサッパリ理解できない。
何としても試験に合格せねばならないという強迫観念と、 これまでの怠慢ゆえに合格点を獲得することが絶望的であるとの現実が合わさったとき、 心が弱い者が、かかる不正行為に手を染めてしまうことは、理解できる。 しかし、試験を、かような姑息的手段でごまかした学生が、以後の学習に支障を来さないとは考えられない。 かろうじて国家試験を通過したとしても、藪医者になることは明白である。 おそらくは患者を傷つけ、医学の発展を妨げる害虫となることであろう。
もし、彼らが既に医師としての高い志を失い、単に安定した高収入と社会的ステータスを獲得するための 手段として医師免許を欲しているならば、もはや私は彼らに投げかける言葉の一つも持っていない。 しかし、もし彼らが、かつて有していた誇りの一片でも保ち、 自らの所業を恥じる心を僅かでも残しているならば、ぜひ、過去の過ちを自首されよと、申し上げたい。
試験における不正行為には、厳罰が下される。 現行犯でなく自首であるならば温情ある措置が下されるかもしれないが、 一年間の留年ぐらいは、覚悟する必要があるだろう。 生涯収入のことだけを考えても、一千万円以上の損失になると思われる。
だが、ここで悪事を隠し、それを一生の負い目として、余生を藪医者として過ごすことが、はたして幸福な人生であるか。 そうして、ごまかして、逃げ続ける人生を、本当に望むのか。 全てを告白し、周囲からの嘲笑と侮蔑を受けたとしても、今からしっかりと学び直せば、 人並の医師か、あるいは名医と呼ばれる医師にもなれるやもしれぬ。
胸を張って、生きていこうではないか。