これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2014/08/29 研修病院選び

8 月 26 日に書いたように、私は今のところ、初期臨床研修を受ける病院として北陸の某新設大学を筆頭候補に考えている。 こうした地方大学病院は、名古屋大学などに比べると、医療機材が比較的乏しく、人が少ないことが弱点であろう。 しかし、少なくとも初期臨床研修に限っていえば、医療機材の良し悪しは、それほど重要な問題ではないと思われる。 もちろん、CT 装置も MRI 装置も持っていない、などという病院はいかがなものかと思うが、 CT 装置が 64 列か 320 列か、などという違いは、研修の質にはほとんど関係ないであろう。

だが、人が少ない、という点は、いささか気にはなる。大学病院の長所の一つは、学生がいる、ということである。 たとえば、研修医と学生の合同勉強会としてthe New England Journal of Medicineに連載されている Case Records of the Massachusetts General Hospital の検討会などを行えば、双方にとって大いに勉強になるであろう。 ここで重要なのは、エラい先生方に監督し教導してもらうのではなく、あくまで研修医や学生といった若手が主体となって勉強会を行う、ということである。 教えてもらうのではなく自ら学ぶ、という姿勢の欠如こそが、現在の医学部教育の重大な問題点である。

問題は、地方大学において、こうした自主勉強会に参加し積極的に討論する意欲的な学生や研修医が、どれだけいるのか、ということである。 ひょっとすると、中途半端な名門大学よりも地方大学の方が、学問に対する情熱溢れる学生が多いのかもしれないし、 逆に、意欲のある学生は金沢大学などの近場の名門に抜けて行ってしまっているのかもしれない。 しかし、いずれにせよ、名古屋大学の惨状を思えば、それより酷いということは、あるまい。


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