これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2014/08/28 衛生観念

昨年 11 月 3 日に、白衣で食堂を訪れる不衛生な医療関係者の話を書いた。 当時、私は、名古屋大学病院の職員が衛生観念を欠いていることを指摘したつもりであった。 しかし複数の大学病院を見学して気づいたのは、どうやら名古屋大学は相対的にみれば特別に水準が低いわけではなく、 むしろ日本の医療関係者全体が低レベルなだけかもしれない、ということである。

北日本の某名門大学附属病院の正門には、恐るべき注意書きが掲示されていた。 「白衣での外出禁止」という意味のことが、書かれていたのである。 白衣で敷地外に出てはいけないなどということは世界の常識であるが、なぜ、わざわざ掲示をしてまで注意喚起しているのか。 おそらく、正門前の蕎麦屋あたりに白衣で入店した者が過去におり、大学に苦情が寄せられたのであろう。 他に、中国地方の名門でも、北陸の新設大学でも、白衣で食堂を訪れる職員は少なくなかった。

現実問題として、白衣を逐一着脱するのは面倒であるから、そのまま食堂に行きたくなる気持ちは、理解できないでもない。 しかし「白衣は汚い」ということは世界の常識であって、このこと自体を否定する医療関係者は、さすがに存在しないであろう。 それにも関わらず、「面倒だから」というだけの理由で白衣のまま食堂を訪れるのは、いかなる信念に基づく行動なのだろうか。 そのうち、「面倒だし、どうせ手袋をつけるのだから」と、手術前の手洗いを省略する外科医が現れるのではないかと、私は危惧している。

2014/08/29 追記

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