これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2014/12/09 地方大学の魅力

私は、いまのところ、北陸の某地方大学で初期臨床研修を受けようと考えている。 率直にいえば、その大学病院は特に指導が充実しているという噂は聞かないし、特別に有名な医師がいるという話も知らない。 研修医の待遇が格段に良いというわけでもなく、要するに、特段「環境が良い病院」というわけではない。 ただ、私はその大学にいささかの恩義があり、個人的に強い思い入れがある、というのが、第一の志望動機である。 そして、その大学には、広く人を集め、学問を研き、明日の医学を創成せんとする空気が満ちているように思われる。 そうした教授陣の声に応え、新しい医療を築くことこそが、我々のような若手が背負うべき使命である。

学生の多くは、初期臨床研修病院選びの基準として、教育体制が充実しているとか、有名な医師がいるとか、あるいは待遇が良いとか、そういうものを重視する傾向があるらしい。 要するに、自分が受けとることばかりなのである。受動的なのである。 彼らがいうには「今はまだ、我々は研修の身である。 制度を変えていくこと、自分から働きかけていくことも重要だが、それは将来、上の立場になってからで良い。」とのことである。 では、上の立場とは、いったい、いつなのか。十年後なのか、二十年後なのか。 古来、本当に社会を変える働きを成してきた先人達は、例外なく、幼少の頃より大志を抱き、青年期より社会の変革を求めて活動し、 壮年期以降に、ようやく何らかの事を成したものである。 学生時代に「今はまだ若輩の身であるから」などと弁明する者は、生涯にわたって弁明を続け、ついに何事をも為さないことは明白である。


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