これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2014/11/18 意欲と努力

ある人が、かつて、ブログで次のような趣旨のことを書いていた。その人は、当時、某大学医学部医学科六年生であった。

昼休みに食堂で、ある下級生が「午後の講義に出たくない。家に帰って漫画でも読もうかな。」などと発言し、それに対し周囲の仲間がケラケラと笑っていた。 つまらない講義が存在するのは事実であるが、それをサボって漫画を読むとは何事か。 世の中には、医師になりたくて、大学に通いながらも再受験で医学部を目指しているような、志の高い人もいるのだ。 それに対し、勉強はできてもモチベーションの低い、このような学生連中は、医師としての適性を欠くのではないか。

ここで非難されているような連中が、科学者の卵としての意識に乏しい不良学生であるという点については、いささかの異論もない。 しかし、大学に通いながらの再受験で医学部を目指すのが「志の高い人」なのかというと、疑問を感じる。 本当に医学部に入りたかったのなら、なぜ、浪人しなかったのか。 一応は関心を抱いて入ったはずの大学を、なぜ、やめようとしているのか。 そもそも、なぜ、そんなに医学部に行きたいのか。

私は、医学部を志望した動機について、本当にナルホドと思えるような理由を述べている人をみたことがない。 私自身にしても、かなり不純な動機であった。 ひとたび足を踏み入れた学問分野に対し、そう簡単に見切りをつけて再受験で医学に逃げるような人は、医学の道に転進しても、やはり早々に理想を失うのではないか。

医学は、たぶん、ほとんどの人にとって、外からみて想像するほどには、面白くない。 本当に医学を好きで医学を学んでいる人は、ごく一部だけである。

ここまで書いて思い出したのだが、同級生に一人、二年浪人して大学に入った上に、大学院修士課程を中退して医学部に来た猛者がいる。 当人が言うには、医学部に行きたいという気持ちを、ずっと引きずっていたのだという。

そう考えると、なるほど、大学に通いながら再受験する者の中にも、極めて稀には、志の高い人もいるかもしれぬ。

2014/11/27 出典の記載漏れを修正した。たいへん失礼いたしいました。

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