これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。
学生たるものは、卒業するまでに、少なくとも一つ、できれば三つぐらいは、得意とする武器を用意しておくべきであろう。 具体的には何でもよく、たとえば「糸結びが巧い」とか「腹腔鏡の扱いが巧い」とかいう手技でも良いし、 「感染症なら任せろ」とか「膠原病を知っている」というような内科的学識を誇るのでも良い。 とにかく、同級生の中で、私はこれにかけては秀でている、と自信を持てるものがあれば、きっと、卒業後の人生において大きな支えになるであろう。
さて、ある四年生の友人によれば、私が臨床実習中に循環器内科で喧嘩を売った、というような噂があるらしい。 詳しいことはよくわからないのだが、どうやら実習中に、心筋梗塞で ST 上昇がみられる機序について 「世間では、いい加減な説明がまかり通っているように思われる」という発言をしたことなどが、誇張されて伝わったものと思われる。
私としては喧嘩を売る意図はないのだが、研ぎ澄ました武器を持って、教授その他の教員を刺しに行っていることは、事実である。 先生方が見落としているのではないか、うっかりしているのではないか、という部分を、突きにいくわけである。 もちろん、大抵の場合は返り討ちに遭うのだが、刺しに行くという行為自体が重要であると考える。 そうした学生と教員の真剣勝負の場こそが大学なのであって、センセイの有り難いお話を一方的に拝聴するのは、小学校までで充分である。
なお、ST 上昇の件については、実際に Google 検索をしてみればわかるが、説明を試みる人は多いものの、 本当に整合性のある説明をできている人は稀である。 電気軸の概念を正しく理解していないにもかかわらず、電気軸の概念を使って説明しようとしている人が多いように思われる。