これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2014/12/14 名古屋での三年間

学生の中には批判的精神に富んだ人もいて、彼らは病理学的、あるいは薬理学的な機序を追究する姿勢を持っている。 しかし、先生のおっしゃることや、権威ある教科書の記述を公然と批判する猛者は、なかなか、稀である。

かつて米国の物理学者であるリチャードが述べたように、本当に正しい物事は、いかなる批判に対しても耐えられるものである。 もし教科書の記述が正しいならば、我々が死力を尽くして批判を試みたところで、最後には教科書の主張を認めざるを得なくなるはずである。 仮に、我々の批判が未解決のまま残ってしまうならば、それは教科書の記述が正しくないか、あるいは我々が教科書の記述を正しく理解できていないかの、いずれかである。 従って、真に理解したと宣言するためには、全力で批判を加える試みが必要である。

どうすれば、若い学生達に、疑問を持つことや批判することの重要性を教え、実践させることができるだろうか。 残された一年余りの時間の中で、一体、私は名古屋に何を遺すことができるだろうか。 これまでの三年近くを振り返ってみると、実に無為に時間を過ごしてきたことが、かえすがえす、悔やまれる。


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