これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2015/03/30 学生 CPC

名大医学科の五年生は、病理学実習として、臨床病理検討会 (ClinicoPathological Conference; CPC) を行う。 狭義の CPC とは、死亡した患者について、遺族の了承の下に病理解剖を行い、その所見と臨床所見とを照らし合わせて医学的討論を行うものをいう。 一方、広義には、臨床的な症例に基づく医学的討論全般を指す。The New England Journal of Medicineに 連載されている Case Records of the Massachusetts General Hospital は、広義の CPC の抄録である。

本年度の学生 CPC は、学生からの自発的質問が盛んで、活発な討論がなされたとのことで、先生方からは概ね好評であったらしい。 ただし、いささか残念であったのは、学生からの質問に対して、指導にあたった病理医が答えすぎることであった。

こうした討論の場においては、自らの頭脳を駆使して質問を繰り出すことも、それに対する回答を考えることも、貴重な教育機会となる。 従って、会場から提出された質問に対しては、まず学生が回答を試みるのが原則であり、どうにも窮する場合には指導者が助言を述べる、という形にするべきである。 しかし実際には、学生が何も言わないうちから、指導者がマイクを握って答え始める場面が、しばしば、みられた。 私は一度、指導者が答え始めた時点で、それを遮って「できれば学生の見解を教えていただけますでしょうか」と言ってみたことがあるのだが、無視されてしまった。

ひょっとすると、指導者は「この質問には、学生では答えられまい」と考えたのかもしれないが、それならば「何でも良いから、言ってみたまえ」などと促すべきである。 学生側も、「代わりに答えてくれてラッキーである」と考えるのではなく、「侮辱された」と憤慨し、指導者の言葉を遮って回答するべきである。


戻る
Copyright (c) Francesco
Valid HTML 4.01 Transitional