これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2015/02/17 臨床検査所見

昨年 10 月に、低ナトリウム血症と平均赤血球容積 (MCV) の関係について記した。 これについて、私がみた事例に基づいて補足する。

低ナトリウム血症に合併する「小赤血球症」は、手術後でなくても生じるようである。 また、長期にわたり緩徐に進行した場合、代償性あるいは反応性に 平均赤血球ヘモグロビン量 (MCH) が減少するようである。 機序は不明であるし、私の乏しい観測経験に基づくものであるから 信憑性は高くないが、もし事実ならば、不思議な現象である。

MCV といえば、当たり前のことではあるが、著明な高血糖では MCV は減少する。 血糖値が 200 mg/dL 程度では明瞭な検査所見としては表れないが、500 mg/dL 程になれば、赤血球は明確に小さくなる。 一度、計算してみるとよろしい。

話は変わるが、医学書院から『臨床検査データブック』の 2015-2016 年版が 2 月 1 日に発行された。 これは、各種臨床検査値の、いわゆる基準値や、異常値が出る機序、頻度の高い疾患などを簡潔にまとめたハンドブックである。 非常に有用であり、医学科五年生以上の学生にとっては必携といえる書物である。ぜひ購入されたい。


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