これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2015/01/22 第 Xa 因子阻害剤の補足

1 月 20 日に第 Xa 因子阻害剤について記したが、いささか、説明不足であった。 その不足分についての補足を行うが、必要に応じて、教科書に記載されている凝固カスケードの図を確認しながら読むことをお勧めする。

もし血液凝固カスケードが、フィードバックを含まない一方向のみの単純な連鎖反応であったならば、結局、 トロンビン活性と組織因子活性との比は、臓器によらず一定になるであろう。 この場合、ワルファリンもリバーロキサバンも、全ての臓器に等しく作用するのであって、後者の使用が副作用を軽減することはないであろう。

しかし実際の血液凝固カスケードにおいては、複数のフィードバック系が含まれる。 特に正のフィードバックとして、トロンビンは第 VIII 因子および第 V 因子を活性化する。 第 VIIIa 因子は、第 IXa 因子の補因子であり、第 X 因子を活性化する。 また、第 Va 因子は第 Xa 因子の補因子であり、プロトロンビンを活性化する。

従って、第 Xa 因子以降のみを抑制するリバーロキサバンの場合、脳では組織因子による第 X 因子の活性化が相対的に亢進することにより 凝固抑制効果が比較的低くなり、副作用としての大出血を来しにくい。


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