これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2014/04/09 教授と顕微鏡

2018 年 3 月 10 日の記事も参照されたい。

本日の臨床実習では、病理部を見学した。 感心し、感動したことはいくつかあるが、一番驚いたのは、教授の顕微鏡の扱いの見事さである。

一般的な光学顕微鏡では、ステージの上にプレパラートを置き、接眼レンズおよび対物レンズを通して標本を観察する。 視野を移動する際には、レンズではなく、プレパラートを動かすのが普通である。 多くの顕微鏡では、ダイヤルを回すことで、プレパラートを動かすことができるような仕掛けになっている。 このように言葉で書くとわかりにくいかもしれないが、とにかく、普通の光学顕微鏡を想像していただければよい。

病理医の中には、ダイヤルを回してプレパラートを動かすのではなく、直接プレパラートを手で動かすことを好む人が少なくないようである。 その方が、ダイヤルを使うよりも速い、というのである。 そこで私も、手で直接プレパラートを動かす練習をしているのだが、なかなか、難しい。

多くの顕微鏡では接眼レンズの倍率は 10 倍で固定されており、対物レンズは 4 倍, 10 倍, 20 倍, 40 倍が多いようである。 対物 20 倍までであれば、私は、手でスムーズにプレパラートを動かすことができる。 しかし対物 40 倍の場合、視野の端に少しみえている部分を中央に持ってこようとする時など、つい、行きすぎてしまうことが多い。 なにしろ私は手先が不器用であるから、こうした細かな作業が苦手なのだ。

ところが、今日、教授と学生とで一緒に標本をみていた時、教授は対物 40 倍であるにもかかわらず、実に滑らかに、 スーッとプレパラートを動かし、みたい場所を、的確に、視野の中央に持って来たのである。

私も、いずれは、あのようになれるのだろうか。

2014/04/10 語句修正

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