これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2014/06/11 カルテへの記載

名古屋大学医学部医学科の場合、臨床実習を行っている学生には、電子カルテを閲覧する権限と、電子カルテに記入する権限の両方が与えられている。 当然のことであるが、こうした権限を不適切に用いない旨の誓約書を書いた上でのことである。 なお、残念ながら、医師の卵に過ぎない我々は、時として医学的に間違った内容をカルテに記入してしまう。 そのため、我々が書いた内容には「学生が書きました」という意味の印が付けられているし、 免許を持った正規の医師が確認するまでは「未承認ですよ」という意味の印が付けられている。

さて、今日ようやく認識したのであるが、四月に臨床実習が始まってから二ヶ月間、私は、実に怠けてきたようである。 というのも、これまで、ほとんどカルテへの記入をしてこなかったのだ。 我々は、患者と接する許可を与えられ、カルテへの記載も許されているのだから、どんどん診察を行い、積極的にカルテに記入するべきである。 その際には、否が応にも緊張するし、記載内容に誤りはないか、所見は適切だろうか、あるいは診察漏れはないか、と非常に神経を使う。 こうして悩み苦しむことこそが、勉強なのであり、教育なのである。 今後は、積極的にカルテに記入していこうと思う。

なお、くだらない内容をカルテに記載して、先生方の手を煩わせては申し訳ない、と考える学生もいるかもしれない。 実は私も、少しばかり、そのような気持ちを抱いていた。 しかし、よく考えれば、我々の病院は大学病院なのである。 教育は、大学病院に勤める医師の職務の一部でもある。 学生が書いたカルテに目を通すことを煩わしく思うような医師は、大学病院の医師たるにふさわしくない。 まともな医師であれば、我々の記載をみて「ほほぅ、熱心にやっておるな」と思い、記述の誤りに気がつけば ニヤリと嗤って「ふふん、まだまだ未熟であるな」と言うはずである。 だいたい、我々のようなヒヨコが、立派な先生方の労力を慮ること自体、僭越というものである。


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