これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2014/07/10 臨床検査

我々のような医学科生は、カルテや症例報告において、様々な臨床検査の結果を目にする。 しかしながら、それぞれの検査値に一体、いかなる意味があるのか、正しく理解している学生は稀であろう。 初等的な教科書であれば、これこれの検査値はこれこれの疾患で高値を示す、などと書かれており、これを丸暗記する者が多いように思われる。 学生として健全な心を持っていれば、こうした勉強法に疑問を持つであろう。 なぜ、その疾患でその検査値が高値になるのか。感度や特異度はどうか。 その検査値はどのようにして測定されるのか。 そうした疑問を抱くことは、医学教育においては軽視されがちであり、実によろしくない習慣である。

臨床検査の各項目の意義を調べるには、医学書院『臨床検査データブック 2013-2014』がお勧めである。 これは、各検査項目について、異常値を来す機序や臨床的意義について記した上で、「推奨する総説」として文献を紹介している。

各項目の測定方法については、金原出版『臨床検査法提要』改訂第 33 版がお勧めである。 これは医師よりは臨床検査技師向けの書物かもしれないが、各検査項目についての測定方法を詳細に述べている。 測定方法を知らなければ、その検査項目にどのような長所や短所があるのか、正しく理解することはできまい。 また、臨床検査技師と適切に議論するためには、これらの検査方法について、医師の側も一定の見識を保つ必要があるだろう。


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