これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2014/04/13 卑屈な精神

この mitochondrion.jp のウェブサイトについて、アクセルログを眺めてみると、どうやら「医学部 編入」というようなキーワードで検索していらっしゃる方が多いようである。 必然的に、アクセス数の多いページは編入試験のページであり、 次いで博士課程時代の話へのアクセスが多いようである。 どうやら、私が当初想定した通りの人々が、訪れてくれているらしい。

ふと、他の人はどんなことを書いているのだろうと思い、「医学部 編入」などのキーワードで検索をしてみた。 あまり熱心に調べたわけではないので、たぶん、全体像を正しくは把握していないのだが、ちょっと、卑屈な精神の持ち主が多すぎはしないだろうか。

まず第一に、建前が多すぎる。 編入やら再受験やらを目指した理由として、医療への関心が云々とか、人の命が云々とか、家族の死を経験して云々とかいう綺麗事が多すぎる。 前職への情熱は、その程度であったのか。その程度のつまらない職に、なぜ就いたのか。最初から医学部に行けば良かったではないか。 どうして、今になって医療への関心が高まったのか。 家族が死ぬまで、人の死というものをまともに考えてこなかったのか。そんな想像力の乏しい人間が、本当に他人を思いやれると思っているのか。 どうせ匿名で書くなら、正直に書いたらどうなのだ。 人生につまずいたから、逆転を図って医師を目指したのではないか。

一度、人生で失敗したからといって、それが何だというのか。 日本の社会は、失敗した者に対して、あまりに不寛容なのではないか。 だから、若者が失敗を恐れて萎縮し、物事に挑戦しなくなり、社会全体が衰退するのではないか。 18 歳の若者達の間で、これだけ医学部の人気が高まっている現状は、極めて異常である。

第二に、目標が低すぎる。 合格するにはどうすれば良いか、入学した後にキチンと進級するにはどうすれば良いか、国家試験に合格するにはどうすれば良いか、そうした、くだらない話題ばかりである。 全部、他人が設定した関門をクリアすることばかりなのである。自分自身で、目標を定めていない。精神が実に卑しい。

「そうはいっても、医師免許を取得できねば始まらない」などと弁明する者がいるが、それは詭弁である。 たとえ医師免許を取得しても、医師免許を持っているだけの藪医者では意味がない。 正しい医道を歩み、その上で医師免許を取らねばならないのである。 たぶん、誰もが、最初は夢を持ち、志を胸に抱いて医学部の扉を叩くのだと思う。 しかし卑屈な勉強を四年間なり六年間なり続けているうちに、はじめは猛る闘争心を持っていた虎も、牙が折れ、爪を失い、戦闘能力を失った野良猫に成り下がるのである。


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