これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。
初段に到達した。しかし、まだまだ、つまらないミスで大損してから挽回するパターンが多い。
さて、高等教育を受けた我々は、知的エリートである。 もっとも、医学部は高等教育といっても職業訓練の色彩が強いから、いささか知性が偏狭になりがちであるかもしれないが、 それでも、我々がインテリゲンチャであることは間違いない。 私がここでいいたいのは、我々には知性に相応の報酬を受け取る権利がある、などという妄言ではなく、 我々は知性に相応の社会的責任を負っている、ということである。 「私は、エリートなんて、そんな大層なものではないんですぅ」などと不適切に謙遜することは、この社会的責任からの逃避に過ぎない。 ここでいう社会的責任とは、法令と倫理を遵守して患者と社会のために職務を遂行する義務、ではない。 そのようなものは、インテリジェンス云々関係なしに存在するあたりまえの義務である。
たまたま、YouTubeで 真のユダヤ教徒はイスラエル国家を認めない という動画をみた。 イスラエル占領地に在住する正統派ユダヤ教徒による、反シオニズム運動を伝える動画である。 私は、正統派ユダヤ教徒には反シオニズムを唱える者が多いことは知っていたが、 イスラエル占領地にも、そのような運動をする人々がいるとは知らなかった。
このパレスチナ問題については、日本の報道や教育では、かなり米国寄りの、すなわちシオニストに同情的な視点から説明されることが多く、 若い学生の中には、こうした偏った立場のみで理解している者が多いのではないかと危惧される。 そこで、本記事では我々、反シオニストの立場から、この問題を簡略化して述べる。
第二次世界大戦後に、英国等の主導により、国際連合決議に基づいて、パレスチナにおいてイスラエルと称する国家の建国が宣言されたことは周知の通りである。 ここでまず忘れてはならないのは、国際連合には、新国家の樹立を決定する権限は存在しない、ということである。 これは要するに、国際連合、というより連合国が、中東諸国に対し領土の割譲を要求したものであり、不当な決議である。 いわば、国連が日本国に対し、北海道をアイヌ国家として独立させ、現住する非アイヌ民族の立ちのきを要求するようなものである。 もともとパレスチナには、イスラム教徒、ユダヤ教徒、キリスト教徒らが共存していたのであるが、 イスラエルと称する国家はユダヤ人のためのユダヤ教国であるとされ、さらに世界中からユダヤ人が「帰還」したことで、問題が生じた。 この「帰還」した人々は、もともとパレスチナに住んでいたユダヤ人の末裔ではなく、 ヨーロッパ人などのうちユダヤ教に改宗した人が、パレスチナを「心の故郷」として移住してきたものである。 その後、第一次から第四次にわたる中東戦争が行われたが、欧米から武器や技術の支援を受けたイスラエル軍が圧勝した。 この過程で、イスラエル軍は、国連決議がイスラエル領として認定した範囲を大幅に越える土地を占領した。
なぜか日本で発行される地図では、イスラエル軍による占領地をイスラエル領として記載し、また首都をエルサレムと誤記している例が多い。 しかし占領地は領土として認めないのが国際慣行であり、エルサレムは占領地に過ぎず、国連決議が認めたイスラエルの首都はテルアビブである。 イスラエル軍が占領地において、明らかに非武装の女性や子供を含む一般市民を虐殺し、家屋を破壊し、 その他、非人道的行為を繰り返していることは、周知の事実である。 近頃では、ようやく、イスラエル兵によるこうした非人道的行為の告白がなされるようになったらしい。 このように、イスラエルと称する人々の蛮行はとても容認できるものではないが、欧米は「歴史的配慮」からイスラエルを支持しているため、 反イスラエルを掲げるアラブ諸国も、具体的な行動を起こせていないのが現状である。 なお、この歴史的配慮とは、当然ナチスのことであるが、そこで欧米の領土を割譲するのではなく、 無関係なアラブの土地をシオニストに与えた点は、さすが植民地主義者というべきであろう。
こうした中で、レバノンのヒズボッラーや、パレスチナのハマース、 またペルシアのアフマディネジャド前大統領らは、ユダヤ教国としてのイスラエルの存在を認めないと明言している。 この「イスラエルを消滅させる」といった文言だけが日本のマスコミでは取り挙げられるため、 まるで彼らが暴力的で野蛮な連中であるかのように誤解されるが、そもそもイスラエルと称する国家の誕生に何らの正統性もないのだから、 イスラエルを消滅させて原状回復することは、アラブにとって当然の権利である。 また、正統派ユダヤ教徒の多くは、こうしたイスラエルと称する人々、すなわちシオニストのあり方を否定している。 イスラエルはユダヤ人のために神から約束された土地ではあるが、それを武力によって、人為的に獲得することは神の意思ではない、ということらしい。 彼らによれば、イスラエル建国は真のユダヤ教徒に対する迫害を招くのみであり、厄災である、とのことである。
日本はパレスチナ問題に直接は関係していないと思っている人がいるが、とんでもない勘違いである。 日本国は、イスラエルを国家として承認しているのである。 このことは、シオニストを支援する姿勢を表明することに他ならない。 「国交はあるが、あくまで中立である」などと詭弁を弄する人もあるが、それでは、台湾を国家承認していない現実を、どう説明するのか。
そういった問題を理解した上で、我々は、どうするべきか。 彼らの問題であって我々には関係ない、として何もしないことが適切なのか。 それとも、ビラを配り、デモや集会に参加することが責任ある態度なのか。 あるいは、武器を持って戦闘に加わることこそが正義なのか。