これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2014/08/15 北陸地方の某大学

敗戦記念日である。 過度に自虐的な歴史観は不適切であると思うが、近年、一部で偏狭なナショナリズムが高揚しているらしいことが懸念される。

さて、私は、北陸地方の某大学病院を初期臨床研修の候補と考え、見学に訪れたことがある。どこの大学であるかは、書かない。 放射線部門と病理部門を見学したのだが、いずれも教授が対応に当たられたため、私はたいへん恐縮し、萎縮してしまった。 両科とも、丁寧で親切な対応をしていただき、デリケートな話題も含め、ためになる話を聴くことができた。 特に病理部では、臨床実習の中で芽生えた、病理診断に対する一種の疑念について、その内容をここには記さないが、率直に問うことができた。 教授の回答も、完全に納得のいくものであった。 要するに、病理医は単に組織切片を眺めて組織学的診断をしていれば良いというものではない、ということである。

名古屋大学は、先端的医療設備や、優れた指導者に恵まれており、初期臨床研修の環境としては確かに優れている。 しかしながら「寧ろ鶏口となるも牛後となるなかれ」という言葉がある。 名古屋大学という巨牛の中にあっては、我々は、その尾に生えた体毛の一本に過ぎないのではないか。 一方で、地方のいわゆる新設医大では、比較的設備に乏しく、人も少ない。 それは一見、環境として劣っているかのように思われるが、しかし理解のある教授の下であれば、 我々には鶏嘴として、医学の terra incognita を開拓する自由が保証されるであろう。 フロンティア精神あふれる学生であれば、こうした地方大学病院で研修を受けるのも、よろしかろうと思う。

なお、この記事には一か所だけ、嘘が含まれている。それがどこであるかは、ご想像にお任せする。


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