これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2015/09/26 医師臨床研修マッチング 中間発表

昨日、医師臨床研修マッチングの中間発表が行われた。 臨床研修というのは、医師の卒後教育の一つであって、診療業務に携わる前に受けることが義務付けられている。 研修病院として認められている病院であれば、どの病院で研修を受けても良い。 大半の研修病院は医師臨床研修マッチング協議会が実施している「マッチング」制度を利用して研修医を採用している。 このマッチングでは、病院と研修希望者が、互いに希望順位リストを提出し、双方の希望が一致した順に組み合わせが決定していく。 通常、各病院は研修医採用試験を個別に行っており、その試験結果をふまえて、病院は「欲しい研修医リスト」を、 研修希望者は「研修したい病院リスト」を、それぞれ提出するのである。

中間発表では、各病院について、第一希望としてリストを提出した者の数が発表された。 最終締切の 10 月 8 日まで自由にリストは変更できるので、あくまで参考に、ということである。 ただし、中間発表の結果をみて希望順位リストの内容を変更することには、ほとんど意味がない。 たとえば 二人の希望者のうち一人だけ採用される、というような場合においては、第一志望としてリストを提出した者が優先される、というようなことはなく、 あくまで病院側が提出したリストで上位にある者が優先される。 従って、他の研修希望者の動向には関係なく、自分が希望する順位を正直に提出するのが良い。

それにもかかわらず中間発表を行っているのは、単に参加者からの要望が多いから、というだけのことであろう。 このマッチングは、一種の就職活動ではあるが、研修医の定員は医師免許新規取得者よりもかなり多い、いわゆる売り手市場の状態である。 従って、世間一般の就職活動で時にみられる必死さ、悲壮さはなく、いわば、お祭り騒ぎである。 中間発表も、経過をみてワイワイ楽しもう、という程度のものである。

ところで、このマッチングの規約には「参加者は、自己の作成する希望順位表の順位について、参加病院と話し合いをしないこと。」という条項がある。 従って、面接の際に希望順位について問われた際には、この条項を盾にして逃げることができる。 「貴院での研修にたいへん関心を持っていますが、希望順位について具体的に話すことは規約で禁じられておりますので……」とでも言えば良かろう。 ただし、話し合うのではなく一方的に宣言することは禁止されていない。 私の場合、北陸医大 (仮称) 附属病院の研修希望者懇親会において、 自己紹介の際に「研修先としては北陸医大以外、考えておりません」と宣言したが、これは規約違反ではなかろう。

その北陸医大附属病院であるが、定員に対し、中間発表時点で第一希望として提出した者の割合が 45 % 程度であった。 例年、定員割れであるとはいえ、50 % は超えるかと思っていたので、いささか残念である。 県内の某有名病院は第一希望者の方が定員よりも多くなっているので、そのあたりであぶれた人々が、第二志望として北陸医大に来るのであろう。

北陸の医学、医療に新しい風を吹き込むために、彼らと一緒に働ける日を楽しみにしている。


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