これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。
過日の記事に、誤解を招く恐れのある箇所が二点あったので、補足する。 ウイルス性肝炎の記事の修正は、後日、行う。
まず9 月 17 日の件だが、意識のない患者については、 治療方針について本人の承諾を得ることが不可能であるから、近親者の承諾をもってこれに代えるのは正当であると考えられている。 従って、たとえば手術の同意書等について、本人の代理として近親者の署名をもらうことは、適切である。 その一方で、たとえ意識がなくとも、プライバシーは適切に保護されるべきであるから、 代理人たる近親者に対し、カルテ等の内容の一切を告げて良い、ということにはならない。 代理人に伝えるのは、必要最低限の内容に留めなければならない。 このあたりの線引きが、難しい。
次に9 月 18 日の件であるが、美容外科は、常識的に考えて、法律用語でいう医行為に該当する。 従って、現行法の範囲でいえば、医師でない者が美容外科的施術を行うことは許されない。 その一方で、治療にあたらない、いわゆる美容整形は、適切な医療行為でもないのだから、医師が行うのもよろしくない。 結局のところ、いわゆる美容整形は、現状として黙認されているとはいえ、本来、違法である。
これを合法であると解釈するためには、そもそも美容整形は医行為にあたらない、と主張するしかない。 それにもかかわらず「医行為であるから」と医師の独占業務にするのは、不適切である。 法律の抜け穴、いわゆる脱法行為であるといえよう。
現在の「黙認」状態が続いているのは、現状で直接的に被害を受けている人がいないからに過ぎない。 物事の道理を追求しない現代日本の歪んだ空気の象徴である。