これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2015/08/05 一体 何がしたいのか

私は、北陸医科大学附属病院 (仮) で初期臨床研修を受け、その後も十年程度、同病院に勤めるつもりである。 このことを言うと、周囲の人は異口同音に「一体、何がしたいのか」というようなことを言う。 中には「都落ち」などと失礼なことを言う者もいる。

確かに、私自身、「これがしたい」という具体的な目的のために北陸医大に行くわけではない。 しかし、そもそも人生において、そういう具体的な目的を述べる人は、多少なりとも嘘をついているのではないか。 何かを為すという目的が第一にあるのではなく、どう生きるか、という過程そのものを重視するのが、あたりまえの姿なのではないか。

私は、いわゆる聖書そのものは信仰していないという意味において狭義のキリスト教徒ではないが、しかし「類キリスト教徒」であると思っている。 聖書は、どうすれば天国に行けるか、というようなことを民衆に教えた聖人達の言行録であるが、 しかし、その教えの本質は、天国に行くための手段を伝えることでは、あるまい。 どのように生きるべきか、ということを、無学な民衆にわかりやすく伝えるための方便が「天国」であり「奇跡」なのではないか。 もちろん、私はキリスト教学や神学を系統的に学んだわけではないから、神学者や聖職者が、この問題をどう理解しているのかは知らぬ。 ただ、私が、そのように思っている、というだけのことである。

話を医学に戻す。 なぜ北陸医大か、というならば、正直なところ、私が北陸医大を好きだから、ということに過ぎない。 四年前に私が北陸医大から受けた温情あふれる対応は、生涯、忘れることがないであろう。 彼らが私を必要としてくれるなら、私が北陸医大に行く理由としては、それで充分である。


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