これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。
これは、「指針」という名称からわかるように、教科書というよりはガイドラインに近いものであって、 通読して勉強するというよりも、診察室に持ち込んで辞書のように使う方が適切な書物であるように思われる。 総論部分には理論的な記載があり、たとえば胸骨圧迫の理論的根拠などは面白いのだが、 各論は概ね手技や基準値を列挙したような内容である。 手技については、手順や注意点などを詳細に記載しているため、臨床的なマニュアルとしては役に立つと思われる。
章ごとの分担執筆のため、記載内容のばらつきが大きいように思われる。 特に、参考文献について、信頼できると文献を列挙している章がある一方、 学生や研修医向けのアンチョコ本を挙げたり、また、この『救急診療指針』の前版 (改訂第 3 版) を挙げたりしている章も少なくない。 さらに、章によっては、検査や診断について、いささか古いのではないかと思われる部分もあった。
臨床の用に供するマニュアル本としては良いだろうが、学生が通読する目的の教科書としては、推奨しない。