これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2015/09/01 キャッスルマン病

それなりに有名で名前は聞くが実体のわかりにくい疾患の一つにキャッスルマン病 Castleman disease がある。朝倉書店『内科学』第 10 版の索引には掲載されていない。 医学書院『医学大辞典』第 2 版では「縦隔巨大リンパ節過形成」と同義であり「中縦隔に発生する充実性腫瘍」としているが、いささか乱暴な記述である。 `Harrison's Principles of Internal Medicine 19th Ed.' にも、あまりまとまった記述はないのだが、局所性または播種性のリンパ節症を来す疾患、として紹介されている。 このように書くと、何だ、マニアッックで稀な疾患か、という感想を抱く学生もいるかもしれないが、 リンパ腫との鑑別がしばしば問題になるので、注意が必要である。

`Rosai and Ackerman's Surgical Pathology 10th Ed.' によれば、Castleman disease は成人に多いが小児にもあり、また縦隔に多いが皮膚などにも生じる。 組織学的には、リンパ節過形成であり、hyaline-vascular type と plasma cell type に大別される。

-->