これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。
一昨日、10 月 28 日 11 時 30 分から、名古屋大学では全学一斉避難訓練を含む地震防災訓練を行った。 しかし、本訓練の実施にあたり、鶴舞キャンパスでは不手際があったように思われる。
そもそも、訓練を実施する旨が周知徹底されていなかったのではないか。 名古屋大学災害対策室によれば、 チラシを全学に配布して周知を図ったらしいが、 私は、このチラシを鶴舞キャンパスでみかけた記憶がない。 当日、私は朝から図書館にいたが、訓練開始の放送があるまで、訓練のことなどすっかり忘れていた。 そういえば、何日か前に「こんど訓練するよ」という主旨の放送を図書館内で聞いたような気がするが、それだけである。
訓練放送が入ってからも、これが避難訓練なのかどうかは、よくわからなかった。 図書館のスタッフも平常業務を続けているようにみえたし、避難誘導もなかった。 そこで、単なる試験放送なのだろうと判断し、私は、避難しなかった。 近くの席にいた同級生も「避難訓練ではないだろう」などと言っていた。
しかし、後で当局に問い合わせたところでは、あれは避難訓練であったらしい。 鶴舞キャンパスの場合、病院は個別に防災訓練をしているが、病院以外は全学一斉訓練の一環として避難訓練を行うことになっていたようである。 つまり、図書館にいた我々は、逃げ遅れたのである。
今回の件で、京都大学工学部の三年生だか四年生だかの頃の事件を思い出した。 私の所属していた物理工学科原子核工学サブコースは、工学部 1 号館という古い建物を本拠としていた。 どのくらい古いのか、よく覚えていないが、戦前から建っていたかもしれない。
その日、たまたま私は早朝から大学にいた。 すると午前 8 時頃であっただろうか、火災報知器が鳴り始めたのである。 設備の老朽化が著しい 1 号館のことであるから、私は「どうせ、誤報であろう」と判断して避難せず、 しかし一方では「もしかすると本当の火災かもしれぬ」と思い、悠然と廊下を散歩しながら状況を見守ることにしたのである。 すると、火災報知器が鳴り続ける廊下で、神野郁夫助教授 (当時) に遭遇した。 神野さんは、ノンビリとした私の姿をみると「おまえ、焼け死ぬぞ」と言ったのである。
後で聴いた話では、現場には煙がないにもかかわらず「煙感知器」が作動したらしく、つまり誤作動であったらしい。 しかし、万が一、本当の火災であった場合、私のようにブラブラと廊下で様子を窺っているような者は、まず逃げ遅れて、死亡するであろう。 神野さんの指摘は、完全に正しかった。 それ以来、私は、避難訓練などには真面目に取り組むことにしている。