これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2015/10/17 窃盗事件

名古屋大学鶴舞キャンパスの生協書籍部が入っている建物の二階や三階には、部活動のための部室があるらしい。 一昨日の晩、ふと見上げると、この部室へと続く外階段の踊り場に、ショッピングカートのようなものがみえた。 もしや、と思い、近づいてみると「MaxValu」と書かれたショッピングカートであった。 名古屋大学鶴舞キャンパスから 200 m ほど北に行くと、「マックスバリュ千種若宮大通店」がある。 ここから不正に持ち出されたものであろう、と、私は推定した。

正直に言うと、私は「面倒なことになった」と思った。 が、仕方がないのでマックスバリュを訪れて事情を告げると、持ってきてくれないか、とのことであった。 そこで一度大学構内に戻り、そのショッピングカートを返却し、名大医学科を代表して謝罪を述べ、帰途につき、翌日になってから大学の学務掛に報告した。

細かいことを言うと、この対応は、若干、問題があったかもしれない。 このショッピングカートが盗品であることは明白であったが、たとえ「正当な所有者」であっても、 現に他人が占有しているものを勝手に持ち出すことは、法律用語でいう「自力救済」であり、緊急避難にあたる場合を除いては窃盗罪にあたる。 たとえば、自動車を盗まれた者が、隣家の駐車場に停められている当該車両を発見して勝手に奪い返す行為は、窃盗罪である。 取り返す際には、キチンと法的な手続きを踏まねばならないのである。 一昨日の件については、当該ショピングカートは踊り場に放置され、手入れもされていないようであったから、私は占有を離脱していると判断し、持ち出したのである。 実際、このショッピングカートは長らく野晒しにされていたようで、劣化が著しく、マックスバリュのスタッフも、 一見しただけではそれとわからず、「これ、うちのかしら」などと発言したほどである。

本件について、当該ショッピングカートを窃取した者が社会人として当然にわきまえているべき道徳を欠いていることは言うまでもない。 また、医師たる資質もない。すなわち医師法第四条および刑法第二百三十五条 (窃盗) の定めにより、「医師免許を与えないことがある」者として指定されているのである。

さらにいえば、この部室を頻繁に使っていた多数の学生にも重大な問題がある。 盗品である当該ショッピングカートが放置されていることを認識していなかったのであれば、観察能力が欠如している。 また、認識した上で何もしなかったのであれば、社会的道徳観念が欠如している。

なお、マックスバリュのスタッフによれば、荷物が多くて運搬が大変な場合などは、サービスカウンターにご相談ください、とのことである。


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