これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。
本日、4 月から採用の北陸医大 (仮) 初期臨床研修医に対するオリエンテーションの一環として、県医師会の説明が行われた。 都道府県医師会は、基本的には、日本医師会の下部組織として活動している。 過去にも書いたが、私は日本医師会が嫌いであり、県医師会も含めて、加入するつもりは毛頭ない。
日本医師会といえば、何年か前から医学科の学生向けのフリーマガジンである Doctorase を発行するなどしており、新規会員の獲得に熱心である。 しかし、この Doctorase の記事にせよ、本日の説明にせよ、医師会と医師連盟との関係についての説明がなかったことは、不誠実であると言わざるを得ない。
医師会というのは医師の集まりであるが、医師連盟というのは、この医師会を母体とする政治団体であり、その活動資金は主として医師会からの寄付に依っている。 要するに、医師会員から医師会を経て医師連盟に金が流れているわけである。 そして医師連盟は、多額の政治献金を行っている。 この献金は、診療報酬の引き上げなど、医師会や医師連盟にとって具合の良い政策を実現させるためであろう、と推定する意見は少なくない。
政治献金というのは、建前上は見返りを求めない、善意による合法的な寄付であって、賄賂ではない、とされている。 私的な目的を達するためではなく、公的な政治活動を支えるための社会貢献である、というのである。 医師会の場合、これが会費の主たる使途であるのだから、やましいことがないのであれば、こうした活動実績は堂々と学生や新人医師に説明するべきであろう。 それにも関わらず、敢えてこうした「社会貢献」を伏せるのだから、医師会というのは、実に奥ゆかしい組織である。