これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2015/06/20 医学部 不満

ふとアクセス履歴をみていたら、「医学部 不満」というキーワードで検索して、このサイトに来た人が複数、いるらしい。 試しに Google 検索してみると、2 ページ目に、このサイトが出てきた。 このような検索をする人は、たぶん、不満と鬱憤を抱えている医学部生なのだろう。

「医学部 不満」で Hit した他のウェブサイトを少しだけ閲覧してみた。 あるブログに「医学部に対する不満」という記事があったので、一体、何の不満を抱いているのかと思い、読んでみた。 すると、要するに「祝日まで授業があって嫌だ。もっと遊びたい。理学部に行けばよかった。」という趣旨の不満であるらしい。 また、講義で「プロフェッショナリズム」のような話があったらしいが、その講師の言葉は、この学生の心には届かなかったようである。 この記事を読んだ時、私は「嫌なら辞めろ。我々は、医学を学びたいから学んでいるのであって、意欲のない学生に来られては迷惑である。」と思うと同時に、 「理学部に行って遊び呆けたいということか。馬鹿にするな。」とも思った。

しかし、そのブログの過去記事をみると、どうやら、この学生を責めるのは、あまり適切ではないらしいことに気がついた。 どうやら、彼は海城高校出身の順天堂大学医学部一年生であるらしい。 海城高校は、もともと海軍兵学校への進学を目指す生徒を集めて開かれた学校であり、いわゆるスパルタ式の厳しい教育をする、ということで有名である。 海城から順天堂医学部、という進路は、本人が希望したのではなく、たぶん、親が開業医であり、息子に跡を継がせたくて医学科行きを強要したのであろう。

プロフェッショナリズムは、本人の内から湧き起こる誇り、信念に類するものであり、他人から授与されるものではない。 本人が医学・医療に対して無関心であるのに、プロフェッショナリズムを持て、などと言っても、無理である。 また、慶應義塾以外の私立大学の医学科は学費が非常に高額であり、ありていにいえば、医師免許を取得するために金を積んで入る大学、という面がある。 結果的に、開業医の息子や娘が、親の意向に従って入学する例が多いという。

以上のことから、彼は、彼自身の人格に無関心・無理解な親による歪んだ教育の犠牲者であると推定される。

なお、名古屋大学などの国立大学医学部においても、本人の意思に関係なく、親の意向に従って入学する者は少なくない。 さらに卒業後の進路についても、親の意向を最大限に尊重する例が多いという。 彼らの話を聴くと、「育ててもらった恩があるし……」などと言う。 まったく時代錯誤であって、到底、理解できない。

我々は、親に頼んで生んでもらったわけではない。親が勝手に生んだのである。 これまで養育に費した金銭や時間の「恩」については、既に、スクスクと成長してきたという事実のみで、十分に返済している。 これからの人生は、我々自身のものであり、我々自身が、我々自身の意向に沿って決定すればよく、親の意思を考慮する必要はない。 逆に、我々が将来、親になった時には、子の人生に不必要に介入してはならぬ。

このあたりの問題について、私のスポンサーはよくわきまえており、人格者であるといえる。


戻る
Copyright (c) Francesco
Valid HTML 4.01 Transitional