これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。
私は、こうして日記と称する随筆を web 上に記しているが、これには二つの目的がある。 一つは、言うまでもなく、自分の思う所を発信し、それを読んだ人が何かを感じ、考えることを期待するものである。
もう一つの、より重大な目的は、将来の自分自身に対する戒め、の意味である。 私は、もともと医者が嫌いである。高校生の頃には「医者は、他人の弱味につけ込んで金を稼ぐ邪悪な連中である」というような発言をしたことがある。 医学部に来た現在でも、その基本的な考えは変わっていない。 以前に調べたところでは、国立病院の勤務医の平均年収は 1400 万円であるという。 私には、医師が、それだけの高給に値する仕事であるとは思われない。 もちろん、人々の健康を支える、重要な、責任の重い、厳しい仕事ではあるが、同様に社会的に重要な、重責を担う厳しい仕事は、他にもいくらでもあるのだ。 どう取り繕ったところで、医師の高給は某職業組合などによる政治的な活動の成果であって、他の職業と不釣り合いに高いことを否定できない。 そして、給料だけでなく、思考や文化の面で、医師の「常識」は世間と著しく乖離している。 そのあたりの具体例は、後日、記すことにしよう。
しかし私も、医学部で三年余りを過ごす中で、いささか、歪んだ医師の社会に染まりかけているように思われる。 このまま十年、二十年と経てば、私も、自身がかつて軽蔑した「典型的な医者」の一人になってしまう可能性を、否定はできない。 それ故に、今のうちに最大限の批判を述べておくのである。
自分自身がかつて述べた批判は、他の誰の言葉よりも、自分の胸に鋭く突き刺さるものである。 私が将来、道を誤りそうになった時、それを正してくれるのは、他の誰でもなく、私自身の言葉であろう。