これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2015/05/12 教科書レビュー: 金芳堂『MINOR TEXTBOOK 口腔外科学』第 7 版

この教科書は、悪くはないが、強く推奨することはできない。 内容的には、歯科口腔外科の範囲について、初心者を対象に、医学科の学生として最低限修得すべき内容は網羅しているものと思われる。 また、齲触や歯周炎などの歯科領域の話や、裂奇形については、生理学的な内容から臨床的な内容までカバーされており、私のような初心者には楽しめた。 しかし腫瘍や嚢胞などの話題については、症状や治療法を列挙するばかりで、疾患の本態についての議論が乏しく、あまり興奮しない。 さらに、一般的な内科学や外科学と重複する内容も多いため、じっくりと通読するのは退屈であり、睡魔との戦いになった。

また、日本語の乱れも気になった。たとえば p.31 で「放射状」を「放射線状」と表記したり、 p.166 で多分「有病率」を「罹患率」と誤記している部分がある。 また、「○○など」という意味で「○○とか」という表現が多用されており、あまり高尚ではない印象を受ける。 さらに p.265 では「S.C.C (扁平上皮癌関連抗原) は有用.」という体言止めもあり、いささか気になる。

とはいえ、全体を通してみれば、歯科口腔外科の基本を理解するには十分の内容であるようには思われるので、 初学者に対しては、弱く推奨することができる。


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