これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2015/06/29 北陸医科大学 (仮) での研修

以前にも書いたが、私は北陸医科大学 (仮) で初期臨床研修を受ける予定である。 北陸医大は、全国的にとりわけ有名な大学、というわけでもなく、初期臨床研修医の大半は北陸出身者や、北陸医大の出身者であるらしい。 人材の多様性、という観点からすれば、外様の学生や研修医が、圧倒的に不足しているのである。

一部の同級生に、北陸医大での研修を勧めてみたが、あまり好意的な反応は得られなかった。 それもそのはずで、「北陸医大は、何が良いのか」と問われた際に、私は、力強い返答をできなかったのである。 北陸医大の魅力は、「大学であること、巨大で硬直した組織でないこと、そして教育・研究・診療をキチンとやっていること」の三点であると思う。 大学である、つまり学生がいる、という事実は、初期臨床研修医といえども教える立場にある、という意味で、非常に良い環境である。 他人に教えることは、自分自身の理解を深める上で、たいへん有益なのである。 上述の三点は、大学病院としては基本的な事項であるにもかかわらず、全てを本当に満足している大学は、かなり少ないのではないか。 その意味で北陸医大は魅力的なのだが、この魅力は、なかなか、他の学生に伝わらない。

もう一つ、私の勧誘が「ぜひ、あなたに来て欲しいのだ」というものではなく、「誰でも構わない」という姿勢であることも、反応が鈍かったことの原因であろう。 「誰でも構わない」と言われて「じゃぁ、私が」とはならないのは、当然といえば当然である。 正直なところ、「ぜひ、あなたに」と思うような相手は同級生の中に一人ぐらいしかおらず、しかも、 その人にはイロイロと事情があるので、北陸医大を勧める気にはなれなかった。

しかし、彼らも、狭く閉じた名大ネットワークの中で生きていくことに、不安は抱いているだろう。 東海地方の出身で、名大医学科を卒業し、名大ネットワークの中で就職した人は、まず間違いなく、東海地方の平凡な医師として生涯を終える。 一度、安楽な道に足を進めた者が、後から外の世界に飛び出すことは、最初から外に出るのにくらべ、ずっと、たくさんの勇気を必要とするからである。 このことに対する不満や不安はあっても、しかし名大ブランドが威力を発揮しない外の世界に独りで出ていく勇気もない、という者は多いのではないか。

私では頼りにならない、というより鬱陶しいかもしれないが、我が北陸医大であれば、独りで雪に埋もれることはないので、迷っている人には、ぜひ、当大学にお越しいただきたい。 北陸医大の正式名を知りたい人は、メールでお問い合わせいただくか、あるいは私の過去の日記をみれば、たぶん、わかる。


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