これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。
呼吸器内科医と題するブログがある。 著者は、本人が明記しているので伏せる必要なしと判断して書くが、近畿中央胸部疾患センターの倉原氏である。 主に呼吸器内科学的事項について、専門科らしい解説が、品格の高い文章で綴られている。基本的には、読者として医療従事者を想定しているようである。 私は「スリガラス影」という術語を「モヤモヤした陰影の向こうに血管等の影が透けてみえるもの」程度に理解していたのであるが、 これが認識不足であることを、倉原氏に教えられた。 それ以来、私は氏のファンである。
ところで、4 月 14 日に肺炎の定義について書いたが、これについて追加情報がある。 倉原氏によれば、英語では pneumonia と pneumonitis は区別されているのに対し、 日本語ではいずれも「肺炎」と表現するのが最近の傾向であるために、話がややこしくなっているらしい。 しかも、pneumonia や pneumonitis の定義も歴史的に変遷しており、混乱に拍車がかかっているようである。 私の拙い文章で要約するのは憚られるので、詳細はリンク先を参照していただきたい。
倉原氏の記述などから考えると、結局、「肺炎」という術語は意味が非常に曖昧であるため、極力、使わない方が良いように思われる。 特に、学生などの場合、医学論理的思考を失わないためにも、イチイチ「細菌性肺炎」などと表現する方がよろしいのではないか。