これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。
医学とは直接関係しない、国際政治の話題である。 朝鮮民主主義人民共和国が、5 度目の核実験を行い、それに対し国際連合安全保障理事会などから強い非難などが表明された。 私は自称共産主義者ではあるが、北朝鮮が共産主義国家であるとは認めないし、同国に特に好意的なわけではない。 ただし本件に関しては、北朝鮮を非難する側に無理がある。
そもそも核兵器の保有や核実験の施行を禁じる法的根拠は、核拡散防止条約に過ぎない。 もちろん、この条約は不平等条約であると批判しているインド共和国などの非加盟国は条約の規定に縛られないが、加盟国は条約に従わなければならない。 北朝鮮は、かつて条約加盟国であったが、2003 年には脱退を宣言している。 条約からの脱退は、条約上で認められた正当な権利であるから、脱退自体を非難することは不適切であるし、脱退した以上は、条約に従う必要もない。 言うまでもないことだが、核兵器を保有している米国等には、道義的観点から北朝鮮の核実験や核兵器保有を批判する資格はない。
安全保障理事会が北朝鮮の核実験に対して批判を表明することも不適切である。 国際連合憲章第 2 条では、加盟国の主権平等が定められている。 それを無視して、いわゆる核保有国やインド、パキスタンの核実験は黙認し、そしてイスラエルの半ば公然の核保有を許す一方、 北朝鮮の合法的な核実験を非難する安全保障理事会の声明こそ、国連憲章を踏みにじる不法で不当な態度である。