これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。
以前にも書いたが、私は、昔から医者が嫌いであった。 高校時代には、医者を「人の弱味につけ込んで金を稼ぐ邪悪な職業である」と形容したこともある。 それ故に、大学院を辞めて行き場を失い、やむを得ず医学部に行くと決めた時、私は、医者になどなりたくなかった、と嘆いた。 大学院時代の後輩にあたる、ある女性は、そんな私をみて 「あなたは、いま医者をやっている人間が嫌いなだけであって、医師という職業を嫌っているわけではないでしょう。 それなら、あなたが医師になって、その誤っている部分を正せば良い。 だいたい、あなたは社会の枠組みに対して従順すぎるのだ。」 と叱咤した。
彼女のこの言葉が、今でも、私の原動力になっている。 このことは博士課程時代の記録には書いたが、日記には書いていなかったと思うので、ここに記載しておく次第である。
「世の中には立派な医者もいる」などと言う人がいるが、「立派な医者もいる」では駄目なのだ。 医師は聖職であり、故に、全ての医者は立派な人物でなければならない。 もし、不幸にして立派でない医師がいるならば、その者を矯正し、それが不可能ならば追放することもまた、医師の責務なのである。 我関せず、という態度を取ることは、その不実な医師によって患者が害されることを黙認するに等しく、それ自体が不道徳である。
「世の中には立派な医者もいる」ということは、つまり、「世の中には立派でない医者が多い」という意味である。 従って、これからの生涯、我々は常に戦い続けなければならない。