これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2016/09/24 検査手技

私の研修スケジュールでは、9 月 10 月は検査部での研修、となっている。 検査部に二ヶ月も滞在するのは、比較的、稀なようであるが、こうして研修医の希望により自由にスケジュールを組めるのが、北陸医大 (仮) の良い所である。

あたりまえのことであるが、私は、特に検査部の業務を手伝っているわけではない。 私のような素人が、臨床検査などという高度に専門的な業務を遂行できるわけがない。 たとえば心電図を撮るために、電極を患者に貼付することぐらいはできるが、 しかし、指導医の言葉を借りれば「1300 円の商品価値のある心電図」を撮れるかどうかという話になると、たいへん、疑わしい。

私はただ見学しているだけではなく、自分で腹部超音波検査などを実施してもいるが、必ず臨床検査技師が傍におり、適宜、指導や補足検査を行っている。 いうまでもなく、その技師が直接検査を実施した方が圧倒的に速いし、患者の利益にもなる。 要するに、病院のためでも患者のためでもなく、純粋に私のために、私の訓練だけを目的として、私に検査を実施させてくれているのであり、実にありがたいことである。 実際には他の診療科でも同じようなものであって、どちらかといえば我々研修医は、診療業務を手伝うというよりは邪魔している部分が大きいのだが、 検査部は、それが著明であるように思われる。 正しい初期臨床研修のあり方とは、そういうものであろう。

さて、私は病理医志望であるから、何も、自分で超音波検査を行うテクニックなどを修得する必要はない。どうせ、将来、そんな手技を自分で実施はしないのである。 それでも検査の実施訓練を受けているのは、あくまで、その検査で得られた画像を判読するためである。 画像を読むためには、まず、その画像がどのようにして作られているのかを、知らねばならぬ。 そこを知らねば、画像の裏側に何如なる陥穽があるか、到底、想像が及ばぬ。


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