これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2016/12/22 病理解剖の受付時間について

3 ヶ月ほど前に書いた話の続きである。 詳しく調べたわけではないが、現状としては、ほとんどの病院では、夜間や休日には病理解剖を実施していないのではないかと思う。 名古屋大学や北陸医大も、例外ではない。 つまり、患者が夕方に死亡した場合、解剖は、翌朝になってから行われる。 また、週末に死亡した場合は、月曜日の朝を待ってから解剖を行うことになる。 そういう体制では、病理解剖の実施率が上がらないのは当然である。

従って、私は、病理部は 24 時間 365 日のオンコール体制を整えるべきである、と、周囲の研修医らに対して唱えている。 すなわち、いつ、いかなる場合であれ、臨床医からの病理解剖要請があらば、我々は、ただちに病院にかけつけて解剖を実施せねばならない。 私は、今は病理医の卵に過ぎぬが、やがて病理部内において相応の立場を獲得した暁には、かかる体制を早急に構築する所存である。

過日、某内科の中堅医師と立ち話をしていた際、ぜひ将来的には病理部に 24 時間 365 日の体制を構築して欲しい、と言われた。 そういう希望を上級医から聞いたのは、これまで、その一回だけである。 たぶん、少なからぬ臨床医は病理部の解剖体制について不満を持っているのだろうが、私が病理志望であることを知っている人は、敢えて、それを私には告げないのではないか。

しかし、本当は、そういう希望は積極的に表明していたいた方が、助かる。 遺憾ながら、現在の病理医の多くは、病理診断や病理解剖に対して、それほど強い誇りや情熱を持っていないように思われる。 緊急呼び出しや当直などがないことを、病理医という仕事の魅力に挙げる者も少なくない。 そういう連中からすれば、24 時間 365 日のオンコール体制など、とんでもない話であろう。 従って、私は今後、そういう怠惰な病理医連中を敵にまわして、少数勢力の改革派病理医として戦っていかねばならぬ。 そのためには、臨床医からの援護射撃が、ぜひとも必要なのである。 「それが医学・医療のために必要なのだ」という錦の御旗がなければ、数で劣る我々は、戦えない。


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