これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。
講義や勉強会などの際に、あまり発言しない学生や研修医は、多い。 彼らの中には、話の流れについていけていない者、よくわかっていない者も多く、本当は、質問したいことがたくさん、あるらしい。 しかし何となく恥ずかしい等の理由で、なかなか口にできないようである。 こちらからアレコレと訊ねてみると、だいたい「このあたりが、よくわからない」などという疑問点が、彼らの口から出てくるのである。
学生時代のあるとき、私が「そんなの、どうせ聴衆の大半も同様に理解していないのだから、堂々と質問すれば良いのに」と無遠慮に言ったところ、 ある下級生から「誰もが、あなたのように言えるわけではないんですよ」と非難された。
質問できない、という気持ちは、わからないでもない。 私がベラベラと喋れるのは、自分が学生や研修医の中ではデキる方だという自信があり、 どうせ周囲の連中は私よりもわかっていないだろう、と思っているからである。 そういう自信がなければ、たぶん私も、あまり堂々と質問することはでないであろう。
ここまで読んだ人は、なんと傲慢な奴だ、などと不快に思ったかもしれない。 しかし、不愉快なのは、私の方も同様である。
あなた方に自信がないのは、そもそも、これまで、あなた方が不適切な勉強法を実践してきたからではないのか。 教科書に記されていること、センセイのおっしゃることを無批判に受け入れ、思考停止して丸暗記する、という勉強法を二十余年も続けてきて、それで自信がつく方がおかしい。 いつまで、そういう安楽で無責任な態度を通すつもりなのか。それを改めるべき時が、今ではないのか。 そのまま医師になって、それで患者に対して責任を負えるとでも思っているのか。 ガイドラインに書いてあるのだから仕方ない、それが標準なのだから仕方ない、と、言い訳するつもりなのか。
それとも、流れに身を任せていれば、いつか自然に自信がつくとでも思っているのだろうか。