これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。
医師や医学科生の服装のあり方について、全国的な共通見解は存在しないようである。 名古屋大学時代、周囲の学生には、いわゆるケーシー型の、半袖長ズボンで上下セパレート型の白衣を着ている者が多かった。 その一方で、私を含む少なからぬ学生は、長衣型白衣を着用していた。 また、臨床実習に臨む際の注意点として、胸元がみえる型の白衣を着用する男子学生はネクタイを着用せよ、と指導されていた。 ただし、この指導には従っていない学生や医師が多かった。
私は、基本的には学生時代と同じ、長衣型白衣にネクタイ着用、というスタイルを研修中の基本的な服装としている。 しかし、これは北陸医大においては少数派である。 研修医の多くは、スクラブと呼ばれる半袖シャツを着用しており、一部の者は、その上に長衣型白衣を着ている。 白衣にネクタイ、というのは、一部の熟練内科医などにはみられるものの、少数勢力である。
実際のところ、感染対策という点からいえば、ネクタイの着用は好ましくない、という意見もある。 通常、ネクタイは毎日洗濯するものではないから、細菌が繁殖しやすく、不潔である、というのである。 その意見が正しいことは、私も、認める。 さらに言えば、私自身は、ネクタイを好きではない。 特に、学問の話をする際に、いわゆるキチンとした格好をする必要はないと考えており、大学院時代の学会発表に際してはノーネクタイを貫き、 当時の准教授から不興を買ったほどである。 それでも敢えてネクタイを使用する理由については、昨年、書いた通りである。
なお、ネクタイの不衛生さについては、頻回のクリーニングで対応することにしている。 衛生に対する意識の高い人はスクラブを毎日交換・洗濯するらしいが、北陸医大では「週に少なくとも一回の洗濯」を推奨している部局が多いようである。 そこで私は、これに準じて、ネクタイを週に 2 本、クリーニングに出すことにしている。
ただし外科系診療科においては、空気を読んで、私もスクラブを着用している。 服装などという、くだらない問題で意地を通して指導者との関係を悪くするのは、人生に一度ぐらいは必要なことであるが、一度で充分だからである。