これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2016/11/29 興味で質問

私が、形ばかりとはいえ医師になって 8 ヶ月になる。そろそろ、某大学の教授の悪口を書いても良い頃合であろう。

私が某大学某診療科の症例検討カンファレンスに参加した時のことである。 ある若手医師が、「ちょっと興味で質問するのですが」と前置きして、発表者に対する簡単な質問を述べた。 発表者も、特に滞りなく回答したのであるが、その直後、教授が口を開いた。 教授がおっしゃるには、カンファレンスの場において興味で質問をするな、興味があるなら自分で調べろ、とのことである。

学問というものは、「ふしぎ」とか「おもしろい」とかいう気持ちから始まるものである。 その「ふしぎ」「おもしろい」と思う気持ちを語り合い、共有することこそが、科学者同士のコミュニケーションなのであって、大学におけるカンファレンスの存在意義である。 こんなことは科学の世界では常識であって、工学部では一、二年生の頃に教わる程度のことである。 それを「興味があるなら自分で調べろ」などとは、学問を否定する態度に他ならない。 その程度の人物を教授に据えているから、その大学は、いつまでも地方大学として、京都大学や東京大学などの後塵を拝しているのだ。

だいたい、今の医学科生や若い医師に最も欠けているのは、興味を持つ、ということである。 それを思えば、興味で質問をした若い医師に対して、褒めるということはあっても、咎めるなどということがあってはならぬ。


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