これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2016/11/24 医師としての適性

私は、自分が医師に向いているなどとは、思っていない。 過日、九州医大 (仮) の某教授と、九州医大の学生と、三人で食事をした際、教授は「医者の仕事というのは、大半がルーチンワークだよ」などと言った。 すかさず私はニヤリとしながら手を挙げて「僕は医者に向いていません」と言った。 すると教授もニヤリとして「そんなことは知っている」と言い、さらに「俺も向いていない」と続けた。

しかし北陸医大 (仮) の一部研修医や若手医師をみて相対的に考えると、実に遺憾なことであるが、私は医者に向いているのではないかと、思わざるを得ない。 新規に受診した患者について「面倒くさい」などと極めて不謹慎な発言をし、日中から研修医室でダラダラと漫画を読み、 スマートフォンでゲームに興じる者は、一人や二人ではない。 月 31 万円の給与に飽き足らず、給料の「安さ」に不満を漏らし、 どの診療科に進めば稼ぎやすいかに興味を向け、そして「早く開業して儲けたい」などという発言をする者もいる。

何より、医学に関心を持っている者が、極めて少ない。 学生時代、「まずは国家試験に合格しなければいけないから」と言い訳して、医学から目を背けてきた者は少なくないだろう。 それが、実際に国家試験に合格して、何事にも束縛されず、好きなだけ医学を勉強できる立場になった途端、上述のような有様である。 結局、彼らのいう「まずは国家試験に」という言葉は、嘘だったのである。 本当は、単に、医学に興味がなかったのである。 楽して社会的地位と安定した高収入を獲得し、受け売りの医療技術をひけらかして、患者から感謝されたかっただけなのである。 難関の医学部を出たのだから、我々はエリートなのだ、安泰な人生を享受することは当然の権利なのだ、というわけである。

はたして、それで世間が納得するか。


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