これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。
過日、同期研修医の某君と、医学科教育のあり方について語りあった。 彼が言うには、一年生の、医学への情熱が保たれている時期に、もっと臨床的なこと、実際の医療に関係することを教えるべきではないか、とのことであった。 同様の意見は、学生時代にも、何人かの学生から聞いたことがある。 しかし私は、その意見には反対である。
彼らの主張は、医学と関係ないことを学ぶうちに、医学への意欲が薄れてしまうのだ、という仮説に基づいている。 しかし、それは誤りである。 まず第一に、物理学や数学、社会学などは、すべて医学と関係しているのであって、それを「医学と関係ない」などと考えること自体が誤りである。 第二に、仮に、大学の講義の質が低かったとしても、医学への情熱の喪失を、大学のせいにはできない。 講義がくだらないなら、自分で、医学に関係するようなことを勉強すれば良いだけのことである。 それをしなかったのは、要するに、元々、本当は医学に興味がなかったからであろう。
もちろん、私は、現在の大学の講義に問題がない、と言っているわけではない。 名大医学科にせよ、北陸医大にせよ、同級生などの話を聞く限りでは、ろくな講義が行われていないようである。 教える側の自己満足や、試験で点を取るためのテクニック、あるいは通り一辺の、学問的ではないことばかりを教えているのではないか。
もはや北陸医大の教授陣には、任せておけぬ。 次の 4 月から、医学科一、二年生を対象にした初等的な生理学セミナーを開催しようかと思う。