これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2016/11/01 続・不動産投資

しばしば、不動産投資斡旋業者からの電話がかかってくる。 中には、不正に入手した麻布中学校・高等学校の卒業生名簿をみたと思われる勧誘電話もある、という話は一年半ほど前に書いた。 どうやら彼らは、私を卒後 10 年程度の、小金を貯め込んだ医者だと勘違いして電話をしてくるようである。 もちろん実際には、私は年収 372 万円の 33 歳研修医に過ぎないのだから、とてもマンション投資するほどの余裕はない。 そもそも、そんな余剰資金があるなら、マンションなどではなく、もっと医学的な何かに投入するであろう。

多くの業者は、興味ありません、と断わればすんなり引き下がる。 しかし、何という会社であったか忘れたが、やたらと激しく食い下がる勧誘員がいた。 私が何度断わっても、何週間か、あるいは何ヶ月か空けて、土日を狙って電話をかけてくるのである。 彼の話術はなかなか巧みで、特に不快感はおぼえなかったので、暇なときは私も世間話に応じる一方、投資の話については一貫して「興味ありません」を繰り返していた。 よくわからないが、もしかすると、私が世間話に応じたせいで、脈ありと勘違いされたのかもしれない。

過日、彼から電話がかかってきた際に、私はとうとう、以前から気になっていたことを質問してしまった。 つまり「もし本当に投資が有益であるなら、私などに紹介するのではなく、あなた方が自分で投資したらどうですか」と尋ねたわけである。 これに対して彼からは、あまりはっきりした答えを得られなかった。 そこで、私は敢えてイヤラシく「本当にマンション投資が儲かるなら、建てたマンションをすぐに売却するのではなく、 そのマンションを担保に銀行から融資を受けて次のマンションを建てる、とした方が良いんじゃありませんかね」などと述べた。 これに対して彼は、マンションを売却して得た利益で次のマンションを建てる、というのが当社の方針であって云々、などと答えて逃げた。

真相は知らないが、たぶん、マンションを担保にしても、建設費用にみあうだけの融資は受けられないのであろう。 一部のマンション投資斡旋会社のウェブサイトをみても、かなり甘い見積りをしないと、利潤が得られないようにみえる。 そこで、無知な小金持ちをたぶらかして「投資」させるのが、連中の手口であると思われる。

嫌われついでに、私は「名簿を買って、金を持っていそうだと思って電話をかけていらっしゃったのでしょうが、 そういうのが胡散臭く感じられる、という点はご理解いただけると思いますが……」と言ってみた。 すると彼は、当社は 25 年の実績があって云々、などと墓穴を掘った。

25 年ほど前といえば、ちょうどバブルの終末期で、不動産は持っているだけで値段が上がる、という意味不明の時代であった。 その頃に発足した不動産斡旋業者といえば、どう考えても、胡散臭い。とても「実績」などといえるものではない。 さすがに、その点を指摘するのは気が引けたので、私は「ハァ、25 年ですか、結構長いんですね」と軽く流すに留めた。

それ以来、彼からの電話はない。


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