これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2017/02/24 The New England Journal of Medicine

週刊 `The New England Journal of Medicine', 略称 NEJM は、臨床医学の分野において最も有名な雑誌の一つであり、発行元は米国の the Massachusetts Medical Society である。 もちろん、Massachusetts といえばハーバード大学や、その附属病院である the Massachusetts General Hospital の膝元であり、同国の医学教育・研究の中心地である。 臨床医学全般を扱う雑誌で世界的に有名なものとしては、他に英国の the British Medical Journal, 通称 BMJ などもある。 私は米国が嫌いであり、むしろ英国の方が好きなのだが、遺憾ながら医学の教科書では米国発のものに名著が多く、雑誌も BMJ より NEJM の方が好きである。 BMJ が多数の論文を掲載し、必然的につまらない論文も多いのに対し、NEJM は厳選された少数の記事のみを掲載しているため、「ハズレ」が比較的少ないからである。 また、NEJM には若手に対する教育を意識した記事なども多く、楽しく読める。

なお、私は英国風の英語を身につけたいと思っているのだが、上述のように、読む文献が主に米国のものなので、 私の英語は、米国風を主体として部分的に英国風が混ざるスタイルになっている。 単語の表記でいえば、たとえば「中心」は基本的に centre と書くが、「ヘモグロビン」は英国式の haemoglobin ではなく米国式の hemoglobin と書いてしまうことがある。

さて、これまで医学雑誌は時々図書館や電子ジャーナルで時々眺める程度であったのだが、今年の初めからキチンと定期的に読むことにした。 ただし、最新情報であっても信憑性の怪しい論文の類をたくさん読むことは、私のような素人に毛が生えた程度の医師にとっては重要ではあるまい。 むしろ、今はまだ、基本的な教科書をしっかりと勉強することが重要であろう。 そこで、舶来物については何か 1 誌だけを読もうと決めた。そして冒頭に述べたような事情により、BMJ ではなく NEJM を選んだのである。 以前から時折眺めていて、馴染みがあった、という理由もある。

腰を据えてジックリと読む場合、電子ジャーナルよりも紙媒体の方が、私は好きである。 ところが北陸医大 (仮) 図書館には、なぜか、紙版の NEJM が発行から一週間遅れで並べられている。 どういうことなのかと図書館に問い合わせてみると、「海外雑誌は届くのが遅れがちになる」との返答であった。 しかし過去の受け入れ状況を調べてみると、昨年の 1, 2 月も同様に一週間遅れで受け入れられていたものの、3 月から 12 月まではキチンと発行日に届いていたことになっている。 従って「海外雑誌だから遅い」という説明は事実に反するだろう、と思われた。

そこで NEJM の日本国内での流通を担っている南江堂洋書部に問い合わせてみると、 日本国内の印刷所から、基本的には発行日に届くように余裕を持って発送されている、との返答であった。 ただし、大学図書館などでは代理店を通していることがあり、その場合は到着が遅れることがある、とのことである。

それをふまえて、改めて北陸医大図書館に問い合わせたところ、今度は「今年から某代理店を通すことになったので、少し遅くなっているようだ」とのことであった。 この回答を信じるならば、今後も NEJM は一週間遅れの到着が続く、ということになる。

週刊誌を、発行から一週間も遅れて読むなどというのは、私のプライドが許さぬ。 京都大学や名古屋大学の連中が発行日に NEJM を読んでいることを思えば、それより一週間も遅れて同誌を手にしている時点で、 既に彼らに対し精神的に敗北していると言わざるを得ない。 北陸の雄たる我々が、京都大学ごときに遅れをとるようなことは、あってはならぬ。

以上のような理由により、結局、私は NEJM を個人で定期購読することにした。 購読を申し込んだのが 2 月 9 日であり、昨日午後にはキチンと 2 月 23 日号が手元に届いた。 初めから、こうしておけば良かった。


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