これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2017/02/13 図書館のこと

たまには毒にも薬にもならぬ話を書くのも、よろしかろう。

私は、図書館が好きである。 と言っても、読書が趣味だ、などという高尚な話ではなくて、古い財宝がズラリと並ぶ書架の間をブラブラと歩くのが好きなのである。 そこに納められているのは紙やインクではなく、先人達の情熱と志の結晶である。 いずれは私のタマシイも、ここに加えられるのだ、と思えば、否応なしに興奮するのは自然なことであろう。 従って、私のいう「図書館が好き」というのは、読書好きな人々には、邪である、と言われるかもしれぬ。

臨床医学の世界に蔓延する悪い習慣として、理論の軽視、がある。 教科書には様々な知識が記載されているが、それが、いかにして導出されたのか、何を根拠に、そのように考えられているのか、といった点は、省略されることが多い。 しかも、教科書の記載は、しばしば間違っている。 従って、その記載に疑念を抱いた時には、その教科書の記載の根拠となった文献を調べねばならない。

医学科 4 年生か 5 年生の頃から、そうした古文書漁りが私の趣味になった。もちろん、今でも続いている。 近年では電子ジャーナルが発達しているから、古い文献を複写するにしても、わざわざ図書館まで赴かずに済むことも多い。 これは確かに便利なのだが、本音としては、私は図書館で書架から古い文献を取り出し、自分の手でコピーする方が、楽しい。

その意味でいうと、名古屋大学附属図書館鶴舞分館は、実に楽しかった。 名古屋の図書館は、開架書庫の蔵書も優れているのだが、実は閉架書庫が非常に充実しており、100 年以上前の文献も豊富である。 北陸医大 (仮) 図書館も優秀ではあるのだが、さすがに蔵書数では名古屋に及ばぬ。


戻る
Copyright (c) Francesco
Valid HTML 4.01 Transitional