これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。
たまには政治の話を書いても良いだろう。
私は、アメリカ合衆国が嫌いである。世界中でイスラエルの次ぐらいに嫌いなのだが、 イスラエルは国ではないから、世界中で最も嫌いな国はアメリカだ、ということになる。 ただし、私は、アメリカ人を嫌いなわけではない。というより、正直にいえば、少しばかり羨しく思うところさえある。
世界中から反感を買っている、例の大統領令の話である。 後任が決まるまでの仮の司法省トップ、すなわち司法省長官代理の任にあったイェイツ氏は、大統領令に背く指示を出したために解任されたという。 さらに、国務省の外交官有志などが大統領令に異議を唱える抗議文を作成したのに対し、 ホワイトハウスの報道官は「政府方針に従わないなら退職すべき」という趣旨の発言をしたという。
国際社会において、アメリカ合衆国が正義を遂行しているとはいえない。むしろ、世界で最も邪悪な国家の一つであろう。 しかし、個人差はもちろんあるが、集団としての傾向でいえば、アメリカ人は、我々よりも、はるかに正義を愛し、悪を憎む心を持っているように思われる。 ましてや、かの国の教養溢れ誇り高い外交官達が、大統領ごときの威嚇に屈するとは思われぬ。
まことに、アメリカは偉大な郷である。
偉大といえば、1 月 30 日の記事で、AIDS の原因が不明であった時期に、疫学的根拠に基づいて男性同性愛者などの献血制限を主張した Don Francis の言葉について紹介するのを忘れていた。 The New England Journal of Medicine の 1 月 12 日号、175 ページからの引用である。
`How many people have to die? ... How many deaths do you need? Give us the threashold of death that you need in order to believe that this is happening, and we'll meet at the time and we can start doing something.'
本職の翻訳家ではない私がエイヤッと訳すと、次のようになる。
一体、何人が死ななければならないのか。諸君は、一体、どれだけの死を必要とするのか。 一体、どれだけの犠牲者が出れば、諸君は、これが現実に起こっていることだと理解するのか。 具体的な数字を示したまえ。それだけの死者が出た後に、対応を議論することにしよう。