これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。


2017/01/27 国際水準

この日記は、一部の北陸医大 (仮) 関係者にみられているように思われるのだが、気にせずに悪口も書くことにする。

北陸医大には、志のあまり高くない人が、遺憾ながら、少なくないように思われる。 たとえば、ある先進的な治療方法を「北陸地方で初めて導入した」などと表現された場合、北陸医大の人々は、どう感じるか。 たぶん、少しばかり誇らしく思うのではないか。

言うまでもないことであるが、名古屋大学では「東海地方初」とか「中部地方初」とかいう表現は、一度として聞かなかった。 名古屋大学が新たに行うことならば、中部地方で初めてなのは当然であって、わざわざ言及する必要がないからである。 さらにいえば、京都大学では「日本初」という表現も耳にしなかった。 京大の連中は自分達が日本一だと思っているから、少なくとも世界初でなければ、自慢にならないのである。 そこで我が北陸医大を顧みれば、いつのまに我々は、隣県の地方大学と自分達を比較して優劣を論じるような矮小な大学になり果てたのか。

これは、大学の規模がどうとか、予算がこうとかいう話とは、無関係である。我々の精神のあり様の問題である。 「北陸医大は、そういう大学だ。嫌なら名古屋か京都に帰れ。」という批判も、的外れである。 我が北陸医大は「地域と世界に向かって開かれた大学として、生命科学、自然科学と人文社会科学を総合した特色ある国際水準の教育及び研究を行う」ことを、 その理念として掲げている。 国際水準の教育や研究を行うのだという自覚が、あなた方には足りないのではないか。

たとえば、研修医室の個人机をみわたすと、キチンとした成書を並べている者は極端に少ない。 最新情報を集めようと論文検索するにしても、和文論文だけ探して、英文を読もうとしない者も多い。 本当に学術的価値のある内容を和文論文として発表する者など存在しない、という事実を、認識していないのだろう。 さらに、指導医の中にも、診療ガイドラインなどの内容を無批判に受け入れている浅慮な者も稀ではない。 一体、何が、どうなっているのか。

我が大学は、ずいぶん昔から、人材確保に苦労しているらしい。初期臨床研修医も、定員に比して、応募者が少ない。 病院首脳部も、いかにして自大学出身者を残らせるか、ということばかり考え、他大学から人材を集めようという発想を欠いているようである。 そのあたりの問題について、病院長や副院長と話したことは一度や二度ではないが、 どうも彼らは、北陸医大には、他大学から人を集められるだけの魅力が乏しい、と認めてしまっているように思われる。

このように、北陸医大の現状は、惨憺たるものである。 とはいえ、私は、北陸医大の未来が暗い、と言っているわけではない。 まぁ、みているが良い。


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