これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。
北陸医大 (仮) の某若手教員が、以前、「我々の仕事は、毎日が休日のようなものだ」などと冗談半分に言っていた。 誤解のないよう補足すれば、その教員は、毎日、朝から晩まで熱心に仕事をしている人である。
私は未だ研修医の身分であるが、確かに、毎日が休日のようなものである。 だいたい朝から晩まで病院にいて、月 31 万円もの大金を受領しているわけであるが、何か病院の業務を支えているのか、 患者の利益に貢献しているのかというと、あまり仕事をしている実感はない。 もちろん、いわゆる病棟業務などを遂行しているには違いないのだが、業務という意味では私は指導医の足を引っぱっているだけで、役には立っていない。 指導医の監督下で私がやるより、指導医自身がやった方が、どう考えてもスムーズである。 つまり、私は主として自分の学識と技能を磨くために日々を過ごし、しかも給料までもらっているのだから、いわゆる給料泥棒である。「毎日が日曜日」状態ともいえる。
もちろん私は、こうした自身の日常に、何らの引け目も感じていない。 確かに、我々研修医は現在、北陸医大から一方的に扶養されているだけの状態である。 しかし、やがて立場は逆転し、我々こそが北陸医大を支え、北陸の医療を担うことになる。 細かいことをいえば、北陸から出ていく人も、逆に他所から北陸に来る人もいるだろうが、トータルでみれば、そうした人の出入りは無視できる。
何が言いたいかというと、焦る必要はない、ということである。 研修医に、労働力としての存在価値など、期待する方がおかしい。 我々は、五年後、十年後を見据えて、その時に世間に利益を還元できれば、それで充分なのである。 逆に、今、労働力として「貢献」していたとしても、十年後にマトモな医者になっていないようでは、それこそ世間に対する背信行為にあたる。