これは http://mitochondrion.jp/ に掲載している「医学日記」を、諸般の便宜のために、 1 記事 1 ファイルとして形成し直したものです。 簡単なプログラムで自動生成しているので、体裁の乱れなどが一部にあるかと思われますが、ご容赦ください。
医学科生や研修医の中には、新しい医学を創ろう、という意欲と志を持っている者は、遺憾ながら多くないように感じられる。 誰かが作った医学・医療を、そのまま受け売りするだけで満足する。 「ガイドラインでは云々」とか「治療法は決められている」とかいった、医学の観点からすれば荒唐無稽な発言が若者の口から聞かれることが、その証左である。 もちろん、全ての学生がそういう態度なわけではなく、名古屋大学時代の同級生の一部は当時から野心的であったし、北陸医大 (仮) の同僚にも、野望に燃える者は存在する。 が、少ないのである。
それについての彼らの弁明は決まっていて「知識が乏しいから」「経験が浅いから」「もっと勉強してから」といった具合である。 もちろん、彼らが今後、知識を積み、経験を重ね、勉強を尽くしたとしても、それで態度を変えるとは思えない。 本当に野心的な者は、学生のうちから、その眼に炎を宿しているものなのである。
たとえば、ある疾患に対する手術法について議論したとする。 私が「この層で剥離して、この部分だけ切り取れば良いんじゃないか」などと言うと、「それはできないのだ」という答えが返ってくる。 「なぜだ」と問えば「そういうデバイスが存在しないのだ」というのである。 デバイスが存在しないのなら、造れば良いではないか。 造りたいと思ったが何か問題があって造ることができない、というのなら理解できるが、そもそも造ることを考えなかったのであれば、野心が乏しいと言わざるを得ない。